試験前にとても読みたくなる事例Ⅳの記事~記述問題を中心に整理~

この記事は、ダンナが2次試験直前に、事例Ⅳの過去問10年分(平成24年~令和3年)の記述問題のエッセンスを頭にぶち込む用の記事です。

つまり、ダンナによるダンナのための記事ですw
お陰様で無事合格できたので、受験した令和4年分も追加してみました!

模範解答はあえて付けていません(ダンナは模範解答を暗記できるだけの暗記力を持ち合わせていないため)。解答骨子だけで十分であると考えます。

需要があるかは全く定かではありませんが、お付き合い頂けると幸いです!

なお、試験問題全文はこちらからダウンロードできます(模範解答はありません!)。

目次

平成24年:第3問

(設問2)事業承継を考える際、承継先としてどのような相手が考えられるか。また、その際の留意点について中小企業診断士の立場から200 字以内で説明せよ。

解答骨子

  • 承継先は与件文を読んで設定
  • 条件面は、①自社の強みを維持できる、②適正価格での売却、③従業員の継続雇用、④取引先・顧客への配慮等

(設問1)では企業価値算出が問われていた。解答の流れは、①WACC計算、②FCF[=営業利益×(1-税率)+減価償却費-運転資本増加額-投資額]計算、③企業価値=FCF/WACC
なお、もっとガッツリとした問題が平成30年第2問で出題されているので、苦手な方は確認するとよいです。

平成25年:第3問

植物工場で栽培した植物は一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売されると見込まれているが、前提とされる品質基準に適合しないものが生産されるリスクがある。植物工場において生産計画から納品までのそれぞれのプロセスの中で、考慮すべきリスクに関連するコストを大きい順に4つ、90 字以内で述べよ。

解答骨子

  • コストは、①不良品対応コスト(返品・廃棄等)、②工程管理コスト、③予実管理コスト、④品質維持コスト等

与件文から忠実に抜き出すのみ。

平成26年:第4問

D 社では、再度、コーヒー豆を直接買い付ける可能性を探ることにした。しかし、以前のような為替差損を計上する恐れがあるため、この為替リスクを軽減する手段の検討に入った。為替リスクを軽減する手段を2つ挙げ(a)、それぞれの手段を用いた際、円安になった場合と、円高になった場合の影響(メリット・デメリット)(b)について述べよ。

解答骨子

  • (a)為替予約、(b)円安の損失を回避も、円高の利益も放棄
  • (a)現地通貨のコールオプションの購入、(b)円安で権利行使し損失回避も、円高でプレミアム分の費用が発生

この問題、今年出そうなので丸暗記するとよいです!因みに、本問は輸入企業の円安ヘッジですが、輸出企業の円高ヘッジの際にはどのようなオプション戦略になりますか?すぐに、現地通貨のプットオプションの購入が思い浮かべばOK!

平成27年:第2問

(設問2)(設問1)の予測損益計算書(売上高が10%減少すると営業赤字となる)から明らかとなる傾向を(a)欄に40字以内で、そのような傾向が生じる原因を(b)欄に60字以内で述べよ。

解答骨子

  • (a)売上高10%減少⇒赤字転落
  • (b)固定費が高い費用構造⇒営業レバレッジが高い=売上高変化率に比して営業利益変化率が大きい

営業レバレッジ≡営業利益変化率/売上高変化率=…=限界利益/営業利益=1+固定費/営業利益

平成27年:第4問

X社はD社にとって主要な取引先であり、D社の受注全体に占めるX社からの受注割合が大きい。この点に関して、下記の設問に答えよ。
(設問1)X社のような大口取引先の存在は、D社にとってメリットもあるがデメリットもある。どのようなデメリットがあるか、30 字以内で述べよ。
(設問2)(設問1)におけるデメリットを解消するための方策として、環境関連製品の製造・販売をすることの意義を30 字以内で述べよ。

解答骨子

  • (設問1)大口取引先への依存度大⇒経営リスクが顕在化
  • (設問2)既存製品と異なる需要動向を示す製品⇒事業リスクの分散

与件に全部書いてるっす!!

平成28年:第4問

(設問1)業者が運営するネット予約システムを利用することにより、同システムを利用しない場合と比較し、D 社の収益や費用はどのような影響を受けているか、60 字以内で述べよ。

解答骨子

  • (収益増)営業時間外の予約受付やネット上の露出増
  • (費用増)送客手数料や予約管理の人件費増

やはり与件に全部書いてるっす!!

平成29年:第4問

(設問1)親会社D社単体の事業活動における当年度の損益状況を、30字以内で説明せよ。なお、子会社からの配当は考慮しないこと。
(設問2)再来年度に関連会社D-b社を子会社化するか否かを検討している。D-b社を子会社にすることによる、連結財務諸表の財務指標に対する主要な影響を30 字以内で説明せよ。
(設問3)関連会社を子会社化することによって、経営上、どのような影響があるか。財務指標への影響以外で、あなたが重要であると考えることについて、60字以内で説明せよ。

解答骨子

  • (設問1)親会社の持分(80%=64)=1-非支配株主持分(20%=16)⇒税引前当期純利益(56)ー親会社の持分(80%=64)<0:親会社単体だと赤字転落
  • (設問2)収益性が向上するも、借入増により安全性悪化
  • (設問3)(+)意思決定の迅速化、(±)シナジー効果、(ー)ノウハウ不足による判断の誤り

連結会計はたまに出てますね(類題:R2第3問)。

平成30年:第4問

D 社が受注したサポート業務にあたる際に業務委託を行うことについて、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があるのはどのような場合か。また、それを防ぐにはどのような方策が考えられるか。70 字以内で説明せよ。

解答骨子

  • (悪影響)委託業者のサービス水準低下⇒顧客満足度低下
  • (方策)委託業者との連携強化、人材教育

実は、これもよく読むと与件に書いてるです…

令和元年:第4問

(設問1)D 社は建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としている。その(a)メリットと(b)デメリットを、それぞれ30 字以内で説明せよ。
(設問2)建材事業部では、EDI の導入を検討している。どのような財務的効果が期待できるか。60 字以内で説明せよ。

解答骨子

  • (設問1)(メリット)利益責任の明確化、子会社側での意思決定の迅速化
         (デメリット)管理機能重複による管理コスト増大、セクショナリズムの発生
  • (設問2)タイムリーな配送⇒売上増、配送コスト削減、在庫情報共有による在庫削減⇒費用減少に伴う収益性向上

(設問2)はやはり与件に書いてます。

令和2年:第3問

(設問2)この買収のリスクについて、買収前に中小企業診断士として相談を受けた場合、どのような助言をするか、60 字以内で述べよ。

解答骨子

  • (リスク)買収先は赤字⇒収益性悪化、借入増⇒安全性悪化
  • (助言)シナジー効果を吟味しつつ、デューデリジェンスは慎重に行う

(設問1)でのれんにかかる会計処理について聞かれています。
通常の買収:買収価格>買収先純資産額⇒差額はのれんとして資産計上し減価償却
レアケース:買収価格<買収先純資産額⇒差額は負ののれんとして特別利益に計上

令和2年:第4問

(設問3)取締役に対する業績評価の方法について、中小企業診断士として助言を求められた。現在の業績評価の方法における問題点を(a)欄に、その改善案を(b)欄に、それぞれ20 字以内で述べよ。

解答骨子

  • (松)中長期的な投資効果が評価されず短期目線になる⇒中長期的な投資効果をKPIに追加
  • (梅)支払利息が未考慮⇒経常利益ベースで評価

前問の結果を踏まえると、断然(松)解答なのですが、試験場でこの答案を書くのはほぼ不可能だと思います(難問)。

令和3年:第4問

D 社は現在不採算事業となっている移動販売事業への対処として、当該事業を廃止しネット通販事業に一本化することを検討している。
(設問1)移動販売事業をネット通販事業に一本化することによる短期的なメリットについて、財務指標をあげながら40 字以内で述べよ。
(設問2)D 社の経営者は移動販売事業を継続することが必ずしも企業価値を低下させるとは考えていない。その理由を推測して40 字以内で述べよ。

解答骨子

  • (設問1)車両関連費用や人件費の削減⇒売上高営業利益率の改善
  • (設問2)買い物弱者である高齢者への支援には社会的意義が存在⇒企業ブランド向上

計算がやや煩雑だったためか、この年の記述はかなりマイルドです。

令和4年:第4問

D社が中古車販売事業を実行する際に考えられるリスクを財務的観点から2点指摘し、それらのマネジメントについて100字以内で助言せよ。

解答骨子

  • 為替変動リスク→為替予約やプットオプションの購入で円高リスクをヘッジ
  • 在庫変動リスク→海外市場予測を行い需要予測を行う

計算問題は3-1以外完答したほか、事前に予想していた為替変動リスクを的中させ有頂天になっていたため、在庫変動リスクを本番で外してしまいました…(結構それによる減点がでかかったようです)

実は、この設問は(わかり辛いですが)現代文の問題です。
与件の最後に、
「しかしD社は、中古車販売事業が当面、海外市場を中心とすることや当該事業のノウハウが不足してい
ることなどからリスクマネジメントが重要であると判断しており、この点について外部コンサルタントを加えて
検討を重ねている。」
とモロに書かれているため、リスクマネジメントは、①海外市場を中心とすること、②当該事業のノウハウが不足してい
ること、に関連している必要があります。

これだけ読んで私は為替変動リスクについてアンテナが立ち、第3問の設問文
「それらの中古車は、現地販売店に聞き取り調査をしたところ、輸送コスト等を含めてD社の追加的なコスト負担なしに1台あたり60万円(4,800ドル、想定レート: 1ドル=125円)で現地販売店が買い取ると予測される。また、同業他社等の状況から中古車販売事業においては期首に中古車販売台数1か月分の在庫投資が必要であることもわかった。」
を読んで確信しました。

問題は②のノウハウ不足ですが、実は上記をよく読むと書かれていて、ひと月分の在庫投資の必要性が謳われています。

この両方について、ピンポイントに答えられていれば、計算がさっぱりでも高得点だったのではないかと推察します(つまり、R4事例Ⅳの勝負を分けた1問だったのでは?)。

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この記事を書いた人

30代会社員です。

某国立大学理系学部を卒業し、同じ大学の大学院まで修了しました。新卒で銀行に就職しました。思いのほか居心地が良かったので、そこそこ長く勤めた後、自由を求めて某ヘッジファンドへ転職。程なくしてコンサルタント(兼データサイエンティスト)へ転職。

更なる自由を求めて、中小企業診断士という武器を手にして、独立開業を妻と画策中であったものの、コスパ悪そうなので尻込み(←今ここ)。

主な資格等は以下の通り。
・証券アナリスト
・CFA Level3 candidate
・統計検定1級
・数学検定1級
・米国大学院で修士号取得
・学生時代に起業経験あり

ブログ運営を通じて、webマーケティング等のお勉強をしていきたいと思います。お手柔らかにお願いしますw

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