FP1級実技試験PartⅠの模様(2025年9月28日受験)

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面接前半から面接後半まで

こちらから続く、FP1級記事の3本目です。なお、面接前半の記事はこちらです。

実技(面接)試験もいよいよ後半のPartⅠを残すだけとなりました。前半のPartⅡが終わったのが14時37分でした。後半PartⅠの私の設例読みが指示されたのが15時26分だったようですが、その間の50分はひたすらに相続分野の復習を行っていました。設例読みの時間は15分です。私の問題はこちらでした。

設例をみると、どこかで見覚えがある問題でした。というかほぼ同じような問題を解いた記憶があります…(何という幸運)ただ、こちらは医療法人の事業承継が聞かれたらまずいと直前に勉強しまくってただけにやや残念。内容はというと、父親である先代社長が遺言書を残さずして急死してしまいました。さて、相続税を押さえて円滑に事業承継するにはどうしたらよいでしょうかという問題です。設例にメモを書き終わり、精神を集中していたところ、面接室への移動が命じられました。面接開始は15時42分です。

面接の模様

面接官は50歳ぐらいのイケおじ(こちらは完全にイケおじ)とお供で40代ぐらいのメモとりのおじでした。ただ、メモ取りおじさんはやはりメモを全く取りません。ただ、先ほどと違って、私の回答にいちいちうなづいてくれます。以下が面接のやり取りです。

(面接官:以後「面」)設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられますか?
(ダンナ:以後「ダ」)顧客の相談内容は、①長男Cさんは、X社株式をどのように承継すべきか悩んでいること、②妻Bさんは、兄弟間で相続財産の偏りが生じることに不安を感じていること、③妻Bさんは、自分が相続で財産を多く相続すると、二次相続の際に多額の相続税が生じるのではないかと不安を感じていること、です。問題点は、①遺言書がない中での円滑な事業承継、②対策しないと相続税が高額になること、③遺言書がない中での円満な遺産分割、④何もしないと納税現金が不足しかねないこと、です(とにかく簡潔に述べるっと)。

(面)そうですね。それでは順にお伺いします。まず、X社株式の移転に関して、どのような提案をしますか?
(ダ)事業承継税制(特例措置)の適用を提案します。
(面)制度の概要を説明してください。
(ダ)事業承継時に発生する贈与税や相続税が猶予・免除される制度です。
(面)今回、先代社長がすでに亡くなっていますが、制度の適用は可能ですか?
(ダ)可能です。幸いなことに、次期社長となる長男Cさんが相続直前に役員であったので。
(面)そうですね。それでは、この場合のフローを教えてください。
(ダ)まず、特例承認計画を速やかに作り提出期限である2026年3月31日までに提出し都道府県知事の確認を受けます。次に、相続開始から5か月以内に長男Cさんが代表に就任し、9か月以内に円滑化法の認定申請を行います。そして、相続から10か月以内に相続税の申告を行います。なお、2027年12月31日までに相続により株式を取得する必要がある点には注意する必要があります。

(面)わかりました。それでは、次に、兄弟間で相続財産の偏りが生じることについてどのような提案が考えられますか?
(ダ)二男Dさんの遺留分を侵害しないように、「代償分割」を提案します。具体的には、まず長男Cさんが、X社株式と、事業に不可欠なX社本社土地をすべて相続します。その代わりとして、長男Cさんはそれらの固有財産から、二男Dさんに対して、法定相続分に相当する価値の代償金を支払います。
(面)代償分割を行うための資金はどのように調達しますか?
(ダ)X社の余剰資金は2億円以上あり、経営は安定しているようなので、長男Cさんが相続したX社株式の一部をX社に金庫株(自己株式)として買取ってもらい、現金化する方法がよいかと思います。

(面)妻Bさんが、相続で財産を多く相続すると、二次相続の際に多額の相続税が生じるのではないかと不安を感じていますが、どのようなアドバイスをしますか?
(ダ)配偶者の場合には「配偶者の税額軽減」という制度があり、妻Bさんは法定相続分か、1億6,000万円のいずれか多い金額まで財産を相続しても、相続税はかかりません。ただ、この制度を最大限利用してBさんが多く相続すると、今回Bさんが支払う税金はゼロになりますが、その分、将来Bさんが亡くなった際の「二次相続」で、子であるCさん、Dさんが相続する財産が多額になってしまいます。そうならないように、なるべく多くの資産をCさん、Dさんに相続させた方がよいと思います。具体的には、妻Bさんはこの先の生活資金を確保しておきたいと考えていることから、現在住んでいる自宅と現預金の一部を相続することを提案します。
(面)生前贈与を活用した方法は考えられませんか?
(ダ)妻Bさんから子どもや孫への相続時精算課税制度を利用した生前贈与の活用を提案します。

(面)高額な相続税額を圧縮するためにどのような提案ができますか?
(ダ)「小規模宅地等の特例」の活用により、相続税評価額を圧縮できます。
(面)特例の対象となる資産はどれですか?
(ダ)① 自宅の土地(200㎡):「特定居住用宅地等」、② X社本社の土地(500㎡):「特定同族会社事業用宅地等」、③ 月極駐車場の土地(250㎡):「貸付事業用宅地等」、です。
(面)どのように適用するとよいですか?
(ダ)①自宅土地と②本社土地の2つに適用し、③月極駐車場には適用しないこと、を提案します。
(面)具体的に、どの程度評価額が圧縮されるのか教えてください。
(ダ)自宅土地200㎡(限度330㎡以内)と、本社土地500㎡のうち限度面積である400㎡について、それぞれ80%の評価減が適用可能です。
(面)それら二つに対して、完全併用することは可能ですか。
(ダ)完全併用可能です。

(面)相続協議がこじれて、申告期限に間に合いそうにない場合どうしますか?
(ダ)その場合は、法定相続分で分割したと仮定する「未分割申告」を行い、一旦相続税を納付します。その後、分割が確定した後、4か月以内に修正申告を行えば、払いすぎた税金を取り戻すことができます。
(面)小規模宅地の特例や配偶者税額控除も適用可能ですか?
(ダ)未分割申告時に、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで適用可能です。
(面)それでは、事業承継税制も3年以内であれば可能ということですか?
(ダ)(やべ…どっちだろ?と初めて言葉に詰まる。持ち帰って検討すべきか?)おそらく適用できません!2026年3月までの時限措置だからです(あー、やべ。お口が勝手に…www)
(面)わかりました。
(ダ)(本当にわかったんかいな???)

(面)最後に、FPと職業倫理について、どのようなことが考えられますか?
(ダ)①顧客利益の優先、②顧客への説明義務、③守秘義務の遵守、④法令の遵守、⑤インフォームド・コンセント、⑥FP自身の能力啓発、の計6つです(呪文言っとけばOKなやつね)。
(面)その中で何を優先しますか?
(ダ)インフォームド・コンセントです(これはテンプレです)。
(面)それはなぜですか。
(ダ)顧客は、先代の急死でただでさえ動揺している中で、複雑で専門性の高い判断をしていくことが求められているため、専門用語を避けて分かりやすく説明し、ご家族の皆さまが十分理解できるまで時間をかけ、皆さまの同意を得た上で進めることが重要だと考えるためです。
(面)わかりました。面接は以上です。お疲れさまでした。
(ダ)ありがとうございました!

手応え

なんか見たことある問題だったこともあり、不動産よりはできたかなと。ただ、知らないのにノリで適当に答えてしまった箇所が一つあるので、そこが非常に心配です…なお、時計を確認すると15時54分でしたので、12分間の面接でした。皆様のお役に立てばこれ幸い!結果発表(2025年10月31日正午)を座して待ちますw(現在、2025年10月31日午前8時)

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この記事を書いた人

30代会社員です。

某国立大学理系学部を卒業し、同じ大学の大学院まで修了しました。新卒で銀行に就職しました。思いのほか居心地が良かったので、そこそこ長く勤めた後、自由を求めて某ヘッジファンドへ転職。程なくしてコンサルタント(兼データサイエンティスト)へ転職。

更なる自由を求めて、中小企業診断士という武器を手にして、独立開業を妻と画策中であったものの、コスパ悪そうなので尻込み(←今ここ)。

主な資格等は以下の通り。
・証券アナリスト
・CFA Level3 candidate
・統計検定1級
・数学検定1級
・米国大学院で修士号取得
・学生時代に起業経験あり

ブログ運営を通じて、webマーケティング等のお勉強をしていきたいと思います。お手柔らかにお願いしますw

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