面接まで
こちらに続き、FP1級記事の2本目です。
さて、そんなこんなで面接当日(2025年9月28日日曜日)を迎えました。受験会場は、AP東京八重洲(東京駅徒歩6分の貸会議室)でした。私は午後受験だったのですが、集合1時間前には東京駅に着いていて、受験会場を下見しました。受験会場の向かいにサンマルクカフェがあったので、そこでコーヒーを飲みながら、直前に数字の確認等を行いました。店内には他にも受験生と思しきお客さんが数人いて、中にはマーカーを引きまくったテキストを読みながらぶつぶつつぶやいている方もいらっしゃいました。些か緊張感が高まってきました…
集合10分ちょい前に会場入りしました。まずは、受付を済ませて大部屋にぶち込まれます。診断士試験よりは年齢層はやや低いかなという感じでしたが、おそらく中央値は私と同じくらい(つまり、40歳前後)かなと思いました。男女比は男性7:女性3ぐらいですかね。女性は20代ぐらいの若い方から、往年の生保レディのような方までバラエティに富んでいたように思いましたが、男性は30代ぐらいの方が多かったように記憶しています。
諸説明を受けた後に何人かずつ待機部屋に案内されます(13時25分に移動していました)。私は8人部屋に案内されました。二人掛けの机が8つ、2(横)×4(縦)と配置されていました。確か番号が振られていて、左列の4人に対して、前から1、2、3、4と振られており、同様に、右列の4人に対して、やはり前から5、6、7、8と振られていました。
私の番号は、「6」でした。事前に先人のブログ等で番号が若い順からPartⅠに、番号の後半の人はPartⅡを指定されることを学習していたので、「わしはPartⅡだろうな」と決め打ちして、不動産ばかり勉強しておりました。自分の番号が呼ばれるまでは、紙媒体の教材やノートなどであれば閲覧できるため、最後まであがくことをお勧めします!
実際、私の部屋は番号1の方から順に、1~4の受験生はPartⅠ、5~8の受験生はPartⅡからの受験でした。メモによると、1の方と5の方が13時45分に設例読みが開始していて、2の方と6(つまり私)は14時06分に設例を読むように指示を受けていたようです。設例読みの時間は15分です。私の問題はこちらでした。
設例をみると、不動産の問題のはずなのに、地図等の土地・建物の概要がついてないどころか、その代わりに親族関係図がついているなんとも不思議な問題でした。ただ、正直相続分野の方が得意だったので、ラッキーぐらいに軽く考えてたように思います。孫の学費を何とか工面できないものかというよくある問題のほかに、相続はしたものの有効活用できない土地をどのように処分するかという見たことのない問題の2本立て。ただよくよく設問を読むと、「学費工面の方法ってこれだと、多額の贈与税が長男に発生するし、それを差し引いても収益物件からの賃料収入だと固定資産税とか考慮するとやや足りないし、空室が発生したら詰むな…とりあえず、教育資金の一括贈与でも提案しとくか。でもこれって不動産の問題??」と頭が混乱してきました。まあ、あとはコミュ力で何とかしよう(平たく言えば、うまくヒントもらおう)って感じでいざ面接開始!(14時25分)
面接の模様
面接官は60歳ぐらいのおじ(若干イケおじ)とお供で50前後のメモとりのおばさんでした。ただ、おばさんはメモを全く取らないどころが終始じーっと私の顔を見ている感じでなんか怖かったです。以下が面接のやり取りです。
(面接官:以後「面」)Aさんから直接聞いて確認する情報は?
(ダンナ:以後「ダ」)①家族構成の詳細(長男Cさんの妻の実家の支援などが可能か)、②甲土地・甲建物、乙土地・乙建物、丙土地の取得日、取得費用が分かる資料の有無、③(Aさんの資産・収入は既知なので)長男Cさん世帯の資産・収入状況、④Aさん夫妻、長男Cさん家族の今後のライフプラン・資金計画や意向、Aさんの健康状態、などですかね(とりあえず、言えるだけ言うスタイル!)。
(面)うん、まあそんなとこですかね。では、FPであるあなた自身が調べて確認する情報は?
(ダ)①権利確認として、法務局で登記事項証明書、公図、地積測量図等、②現地確認として、乙土地・乙建物、丙土地の前面道路の接道状況、境界等、③Aさんの計画、X社からの提案の妥当性、④市場調査として、地元の不動産業者に、乙土地の実績価格についての意見を確認、⑤公法上の規制として、自治体(この場合は市役所)の都市計画課等で用途地域、建蔽率・容積率、斜線制限など、を確認します(とりあえず、言えるだけ言うスタイル2!)。あ、あとX社の提案を検討する際に、X社の事業概要、信用情報、および不動産引取サービスに関する過去の実績辺りも調べたいと思います(あぶねー…)。
(面)他には?
(ダ)(え、うっそーん…)ほ、他にですか?あ、賃貸物件の空室率や賃料水準も調べる必要があります!
(面)そうですね。重要な観点です。他に、賃貸マンションの現行の賃貸借契約の形態(普通借家契約か定期借家契約か)および、契約更新状況も念のため調べておくとよいですね。
(ダ)はい。ありがとうございます!(やべ、減点されたか???)
(面)じゃあ次。孫Eさんの学費支援として、Aさんの考える計画は妥当ですか?
(ダ)妥当ではないです(まずは結論を述べるっと)。
(面)なぜですか?
(ダ)長男Cさんに多額の贈与税が発生してしまうためです。
(面)まあ、そうなんだけどさ。そもそも贈与税なかったとしても賃料収入じゃ学費に足りないよね?
(ダ)そうですよね。固定資産税も考慮してませんし、空室が発生したら計画が一気に崩れると思います。
(面)じゃあどうしますか?
(ダ)Aさんの生活必要資金などを聞いた上で、余剰資金分を孫に対して「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」を提案します!(どや?これで正解やろ?)
(面)うーん、そういうのが聞きたいんじゃなくて…なんか他にない?
(ダ)(顔面蒼白)しばし沈黙…ほ、他にですか?
(面)うん他に。あ、とりあえず、「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」の主な要件は教えて。
(ダ)30歳未満で且つ前年所得が1,000万円以下の、直系尊属からの受贈者に対する教育資金贈与が最大1,500万円まで非課税になる制度です。
(面)うん。そうですね。で、他の方法思いついた?
(ダ)この制度と不動産の生前贈与の併用とかでしょうか…?(マジで思いつかん、無理…)
(面)そもそもさ、贈与なんてする必要あるんだっけ?
(ダ)は、はい?(多分、実際声に出てたと思います。ジジイ、とち狂ったか??とかマジで思ってました)
(面)民法上、Aさんは孫を扶養する義務があるんじゃないの?
(ダ)ミ、ミンポーすか???(あ、これマジ無理)
(面)まあいいや。勉強しといてください。時間ないから次行きます。
(ダ)(残尿感しかないわ…贈与の必要ないってどゆこと?じゃあ、わしは何を今まで一生懸命に勉強してたんや…)
(面)丙土地をⅩ社の提案により処分する前に、他に確認すべきことはありますか?Ⅹ社の提案により処分する場合、どのようなアドバイスをしますか?
(ダ)先ほどと繰り返しになりますが、X社の提案を検討する際に、X社の事業概要、信用情報、および不動産引取サービスに関する過去の実績などですかね。あと、X社提案の引取料100万円が妥当かということについて、不動産鑑定士や土地家屋調査士などの専門家に聞いて確認したいと思います。
(面)他には?
(ダ)(こいつ、他にはおじさんって名付けよw)他には、…(そのとき、突如閃く!!!)自治体からは寄付を断られたとのことですが、国が不動産を引き取ってくれる可能性があるかと思います!
(面)お、よく知ってますね?詳しく教えてください。
(ダ)確か、相続土地国庫帰属制度という制度でして、相続または遺贈で取得した有効活用できない土地について、土地1筆当たり14,000円の審査手数料と10年分の標準的な管理費用を支払えば国が不動産を引き取ってくれるというものです。あ、そうか1年の管理費がざっと10万円とのことなので、10年分でざっと100万円。ということは、X社提案の引取料100万円は概ねリーズナブルだと判断できますね!(テンション上がりすぎてペラペラしゃべりすぎたワイ…)
(面)そうですね。ただ、引き取ってもらえない場合もありますよね?
(ダ)土地の上に建物が建っていたり、担保権が設定されていたら難しかったと記憶しています。
(面)その通りです(ここで初めてお供の方がうなづく)。最後に、X社提案に従う場合の留意点ですが、瑕疵担保責任を外しておいた方がよいです。
(ダ)ありがとうございます。勉強になります(いや、本当に勉強になった)。
(面)最後に、本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか?
(ダ)①不動産鑑定士、②税理士、③宅建業者、④弁護士、⑤司法書士、⑥土地家屋調査士、などです(とりあえず、言えるだけ言うスタイル3!)。
(面)Aさんがあなたに土地家屋調査士がやるような仕事をお願いしてきたらどうしますか?
(ダ)独占業務に抵触する恐れがあるので、丁重にお断りします。
(面)有償でなく無償でもですか?
(ダ)はい。無償でもお断りします(若干不安だが言い切ってもうた…)。
(面)わかりました。面接は以上です。お疲れさまでした。
(ダ)ありがとうございました!
手応え
正直、微妙でした…「他には」おじさんの質問に対して、自分なりに頑張って答えてつもりですが、結構コアな質問で芯を食った回答ができていなかったように思います。ただ、図表の読み取りがあまり得意でない私にとって不動産がこの程度で済んだのであれば、ぼちぼちいけていたようにも思います。冷静に考えると、暗記すべき事項については、淀みなく答えていますし、少なくとも箸にも棒にも掛からぬという感じではなかったかと。気持ちを切り替えて、後半のPartⅠに移ります。なお、時計を確認すると14時37分でしたので、12分間の面接でした。皆様のお役に立てばこれ幸い!
 
	 
	